医用画像用「3Dイメージング・ラボ」新規開設時のポイント

イギリスNHS財団シェフィールド大学病院の臨床技士であり、専任のエンジニアも努めるピーター・メセラル博士。大学病院内の「シェフィールド・3Dイメージング・ラボ」技士のリーダーとして、臨床を目的とした高度な可視化、医療画像の調査や応用研究用の定量的な画像使用の有用性を向上させることが彼のミッション。彼自身立ち上げに深く関わった病院内3Dイメージング・ラボについて、インタビューに答えていただきました。

NHS財団のシェフィールド大学病院では、どういった経緯で3Dイメージング・ラボを始めることが決まったのですか?

私が初めて医用画像を処理する「3Dイメージング・ラボ」という概念に触れたのは、2007年シカゴでの北米放射線学会年次総会(RSNA)に参加した時でした。3Dイメージング・ラボは高度な可視化技術を提供する理想的方法で、こうした施設があれば診断結果の一貫性と再現性を向上させられると感じました。さらに専用の画像処理担当者をおけば、効率やオペレータの専門知識が向上し、ソフトウェアの使い方も改善されます。

シェフィールドの医療画像部門では既に多くの画像処理ソフトウェアにアクセス可能でしたが、実はそのほとんどが使用されていない状態でした。3Dラボの開設はそうしたソフトウェアの有効活用にも繋がりますし、新しいテクノロジーの導入で斬新な画像処理技術、研究、教育機会の開発に携わる機会が増えるのではと考えました。

また画像の定量的な利用を増やすこともラボ立ち上げ時の目標のひとつでした。画像を数値化して分析すれば、検査時の画像の主観的な解釈を減らせるためです。

医用画像用「3Dイメージング・ラボ」新規開設時のポイント

実際どのように3Dイメージング・ラボ開設したのかその手順を説明していただけますか?

最初に行ったのは、病院から協力を得ること、そして3Dイメージング・ラボの開設が撮像部門の将来戦略の一部となることへの総意を得ることでした。またこれと同時期に幸い得られた資金で、既にアメリカで確立された3Dラボを持つスタンフォード大学、マサチューセッツ総合病院、そしてミシガン大学を視察する機会にも恵まれました。こうした視察から得られた情報は非常に貴重なものばかりで、3Dイメージング・ラボ開設の初期段階にあった我々を大きく助けるものとなりました。

放射線科医らとコンセプトについて話し合った後、我々は短期的に実現できそうな目標を2つに絞って事業を始めました。1つは現在放射線科医によって実施されている既存の心臓MRへの適用、もう1つは腫瘍計測の精度を改善するための新しい分析技術への適用です。

これを足がかりに3Dラボは徐々に進化。撮像部門で実施できるテストの種類や3Dラボが処理する様々なアプリケーションを増やしていくことにつながりました。

ラボを開設時はどういったことを考慮されましたか?

まずは中央放射線チームの同意を得る必要がありました。次に重要だったのは、3D画像に要求される条件や撮像条件が放射線科医と実際の患者を担当する臨床医の間で異なるということ、また様々な診療科(例えば心臓、脳神経外科、整形外科など)によっても、その条件がおのずと変わってくるということを理解することでした。このステップでは全ての放射線科医からのニーズをしっかり識別し、どのような様式でデータをラボに提供するか、彼らと密にやりとりする必要があります。

放射線技師、技術者、そして3Dラボのエンジニアといったスタッフを雇うための資金獲得も同じく重要です。採用の際には各スタッフの役割をきちんと決めておく必要もあります。例えばそのスタッフはラボ内だけの仕事に従事するのか、それとも、仕事をスキャンとその後処理に分けるのか、と言った具合ですね。スタッフの選抜には力を入れており、採用後の研修は3Dラボで働くスタッフには必須です。

最後のポイントは、同じ組織内のIT部門から良質なサポートを受けること。ラボに所属するソフトウェア開発者を確保しておけば大きな助けになります。新しく導入したいソフトウェアに必要な資金の計画的な見積もり、厳格な品質管理プロセスが適切に行われているかのチェックもIT部門からのサポートを受けることでスムーズになるでしょう。


ラボ開設にあたり、
んな課題に直面しましたか?

資金獲得が最も困難な課題ですが、これはイギリスの国民保健サービス関連費から支出されているためです。

他の課題としては、良質なソフトウェアを見つけることでしょうか。3Dラボには常に最高のソフトウェアツールが必要なので、最新のアップデートを入手するための優れた保守契約があることを確認することが重要です。望むべくは、将来的にユーザーである私たちの意向をすぐに理解しソフトウェア開発に組み込んでもらえるような、ソフトウェアベンダーとの良好な関係を確立することです。その一例として、これまでの標準的な放射線情報システム(RIS)では撮像する定量的結果を取り入れて再度提供するようなサービスを供給していなかったため、すべての定量データを一元的に管理する3Dラボ・データベース用のソフトウエアを独自開発したこともあります。

医用画像用「3Dイメージング・ラボ」新規開設時のポイント

現時点で3Dラボから恩恵を受けている診療科はどこですか?

放射線科、循環器科、腫瘍外科、血管外科、一般外科、耳鼻咽喉科、整形外科、歯科補綴科、顎顔面外科、泌尿器科および腎臓内科など、3Dラボを通じてさまざまな診療科と協力しています。

これらの診療科で、3D画像を使うことの一番のメリットは何ですか?

3D画像と定量的データを利用することにはたくさんのメリットがあります。生成された画像に高レベルの標準化・一貫性・再現性が期待できることはもちろんですが、3D画像は患者とのコミュニケーションにも役に立つのです。断層画像を解剖学的、および病理学的により容易に解釈しやすい3Dに変換すれば、放射線科医にとってだけでなく、各科の担当医にとっても、患者にとっても有益ですからね。患者自身が、どこが悪く、そのためにどういう治療計画がなされるべきかを明確に理解できれば、手術に向けた患者と医師の合意も取りやすくなるのです。

3Dラボが診療科外部の病院作業する際の、典型的なワークフローを教えてください

ワークフローは、スタディの種類によって異なる場合があります。新規のスタディに関しては、病院内の放射線情報システム(RIS) で、すべての作業を自動的に識別します。これは効率的な作業リストの生成、さらには3Dラボを完全にペーパー・フリー(紙を使わない)環境に保つことにも役立っています。

3Dラボの放射線技師によってデータベースから抽出された画像は、PACSから3D画像を作成するソフトウェアにダウンロードされます。3Dラボは撮像条件や画像の品質に応じて複数のソフトウェアを使用します。情報工学士やエンジニアからのフィードバックは、シームレスなワークフローを促すのに大変有用です。撮像結果は放射線科医に渡され検証され、検証を経た後の定量的データは、放射線科医の報告書に組み込まれます。最終的に担当医が、報告書に追加されたデジタル化された3D結果を利用できるという流れになります。

3Dイメージング・ラボの開設をお考えの医療機関・研究機関関係者の方は、弊社までお気軽にご相談ください。25年以上医用ソフトウェア開発を手がけるマテリアライズが、そのノウハウをもとにアドバイスいたします。